NEDO 若手研究グラント平成21年度採択テーマから産学連携のための研究紹介

お問い合わせ

高炉用高反応性炭材でCO2の削減

銑鉄を製造する高炉プロセスにおける含炭塊成鉱中の高反応性炭材の鉄触媒担持法に関する技術開発で、炭材の反応性を向上させる技術です。

研究機関・所属 東北大学 多元物質科学研究所
氏名・職名 植田滋 助教
研究テーマ名 超活性炭材を用いた高炉内高反応技術による省資源化およびCO2排出削減
応用想定分野 製銑および製鉄、バイオマス源を炭材とするキルン用燃料、フェロニッケルの製造
技術概要

 鉄鋼業の製銑製造プロセスで排出される炭酸ガスの削減には、効果的に炭材のガス化速度を向上させることが求められており、その目的のために炭材に触媒効果の付加を試みる技術です。従来の含浸法では複雑な工程を必要としますが、研究者の方法は既存の工程を利用した簡便な方法で多量の触媒を担持でき、反応性の高い炭材が得られます。

技術の特徴

 製鉄所圧延工程から排出される酸洗廃液を噴霧乾燥して製造される超微粒酸化鉄粉を炭材と容器内で転動混合させることで、炭材表面に触媒作用を持つ超微粒鉄粉を被覆させ、高反応性炭材を製造します。この高反応性炭材を製鉄原料である含炭塊成鉱に使用することで、高速還元体が製造できます。

従来技術との比較

 左下の2本の青色の線は従来のコークスとコークスに触媒を担持したもの、右上の2本の赤色の線はバイオマスを原料とする炭材と触媒に触媒を担持したもので、明らかな差が出ています。

特許出願状況
特許出願手続き中
研究者からのメッセージ

 製造プロセスからのCO2排出の大規模削減を目指しています。本方法ではバイオマスチャーをはじめとした炭材の反応を活性化することにより、吸熱反応を促進し、プロセス温度を低減します。これにより反応後の平衡CO/CO2比を低減することが出来、還元材の能力を最大化することが出来ます。
 ここでは極微量の酸化鉄をバイマスチャーに添加することで活性な炭材としますが、REDOX反応や炭酸化反応を利用し反応を活性化する物質を用いることで、鉄鋼業以外の産業にも広く利用可能と考えます。また、排出されるガス中のCO2濃度が従来プロセスより高くなることから、CCS技術への連携の面でも有効な方法です。
 炭材を還元材、熱源および動力として用いている産業に広く応用できることを望んでいます。

お問い合わせはこちらから