NEDO 若手研究グラント平成21年度採択テーマから産学連携のための研究紹介

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任意の構造と特性をデザインできる、ナノコンポジット創製方法を開発

粒子、繊維、基板を別の微細粒子またはナノファイバーで被覆できるといろいろな用途が考えられますね。これが簡単なプロセスで実現できます。材料の種類、サイズを問わず、低コストで高性能規制複合材料が製造可能です。

研究機関・所属 豊橋技術科学大学 電気・電子情報工学系
氏名・職名 武藤浩行 准教授
研究テーマ名 静電吸着複合法によるナノ集積構造体の創製と微構造制御型機能性コンポジット
応用想定分野 セラミック複合材、化粧品、フォトニック結晶、燃料電池用触媒層、高生体親和性人工骨、ドラッグデリバリ
技術概要

 ナノコンポジットの原料となるセラミック粉末や、化粧品などの新素材となるミクロ構造体を、所望する機械特性・構造で創製できる新しい方法を開発しました。母材粒子とナノ添加物の表面電荷をそれぞれ相反するようにプラスとマイナスに制御し、静電吸着させることで、任意の機械特性、電気伝導性、熱伝導性などを発現する新素材を作製できます。汎用の高分子電解質により表面電荷を制御するだけのプロセスなので、材料の種類(高分子、金属、セラミック)、原料粉末の大きさ(ミリ、マイクロ、ナノ)、形状(粒子、ゾル、ファイバー)などを選ばず、高機能の複合材料を低コストで作成可能にします。
 最近、下記のような成果が上がっています。

  • 図1.Concept to fabricate nanocomp.
  • 図2.Examples of Integrated Particls
  • 図3.SiO2 coated C fiber
  • 図4.CNT coated SiO2 sub.

【図の説明】(図1)本技術の概念を示す図です。(図2)繊維をSiO2粒子で被覆した例です。(図3)球状粒子を被覆した例です。(図4)SiO2基板をCNTで被覆した例です。

技術の特徴
  • ・室温・大気中で、特別な装置を用いる必要がない。
  • ・溶媒プロセスであり材料の汚染が少ない。
  • ・高分子電解質を用いるだけで粒子を複合できるため環境にやさしい。
  • ・添加物が少なくても均一に吸着できる(添加量を少なくしても効果的な複合化が可能)
  • ・静電相互作用により吸着させるため作業時間が短い。
  • ・表面電荷を制御するだけであるため複合種(材料)を選ばず汎用性が高い。
  • ・二元系のみならず、複数種のナノ添加物も集積することができる。
  • ・得られた複合集積粒子は従来の粉末プロセスで、成形、焼結できる。
  • ・機械混合(ボールミルなど)と比較して処理時間が短い。
従来技術との比較
特許出願状況
特開2010-064945 セラミック複合粒子の製造法および機能性セラミック複合材料
研究者からのメッセージ

 セラミック、化粧品などの分野はもとより、製薬、医療材料など新規な分野からのご提案を期待しています。また、本技術を利用して材料被覆装置を開発して、皆様のお役にたてればと考えています。装置関連企業との共同開発も希望します。

参考:

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