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55 温度で透過率が変わる液晶複合材料

55 温度で透過率が変わる液晶複合材料
産業技術総合研究所
30~50℃の温度範囲で、透明と白濁に切り替わり、全透過率も制御できるPNLC(液晶複合材料)を開発した。

【本技術の概要】
単に温度によって白濁化させ不透明状態とするのは、入射光を透過側に散乱(前方散乱)させることにより実現できるが、全透過率を下げることはできなかった。そのため、プライバシーを保護するガラスとしては使えるが、省エネ用途には適さなかった。この課題に対し、産総研、神戸市立工業高等専門学校、大阪有機化学工業は、白濁時に全透過率を下げるため光を入射方向とは反対の方向に散乱(後方散乱)させ、温度変化によって入射光の全透過率が大きく変わる液晶と高分子の複合材料の開発に成功し、これらの課題を解決した。
図1には、左が低温時(約25℃)透明、右が高温時(約50℃)白濁の状態を示し、30~40℃付近で透明と白濁が切り換わる。白濁時、試料後方50mmのカラーチャートが隠れ、照明で生じた試料の影が右下に現れていることが分かる。今回のガラス基板で挟んだ材料の温度を30℃から50℃に上げると、直進透過率は30秒以内に80%以上から10%以下に低下した。

<基本原理>
高分子ネットワーク液晶(PNLC)は、高分子の網目の中に液晶が満たされている構造(図2)で、温度によって透明と白濁による不透明化が切り換わり、同時に全透過率が大きく変化する。低温では、液晶分子が配向し、液晶相と高分子相の屈折率が一致するので、PNLCは光学的に均一となり透明になる。一方、高温になると、液晶分子の配向が乱れて屈折率が変化し光学的に不均一となり、光散乱が生じて白濁する。今回開発したPNLCの微細構造では、白濁状態では後方散乱が生じて、透明と白濁の切り換えによって、全透過率が大きく変化することを見出した。

【本技術の特徴】
① 温度変化による相転移を利用して透明と白濁を切り換えられる液晶複合材料を開発。
② 新規の液晶複合構造の開発により、前方への透過光量の制御に成功した。
③ 建物や移動体の窓に貼り付けることで、暖冷房負荷低減に貢献すると期待される。
【本技術の応用事例・想定用途】
従来の液晶を用いた調光ガラスは、白濁現象を利用したプライバシーガラスとしての用途が主だったが、今回開発した全透過光量も制御可能な熱応答型のPNLCは、暖冷房負荷低減に有効な生活温度(今回の試料では35℃前後)で調光が可能であるため、ガラスへ組み込めば省エネ窓ガラスとして期待できる。また、作製工程や動作原理が単純であるため、製造・施工・運用の面でも有利である。

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