有望技術紹介

45 小径パイプ内面の非破壊粗さ測定

二九精密機械工業株式会社
これまで不可能だった非破壊での小径パイプ内面の粗さ測定を可能とした。医療機器や科学分析装置の品質向上、工程改善に大きな寄与が期待される。

【本技術の概要】

医療、分析分野で用いられる小径パイプ(内径φ1.5mm以下)においては、内面の粗さは分析結果に影響を与える極めて重要な要素技術となっている。これまではパイプ内面粗さの測定は、パイプを半割りして測定面を露出させて表面粗さ測定器を使用する破壊検査でしかできなかった。このため、顧客の要望の内面粗さは抜き取りでしか保証できず、実際に顧客の手元に届いたパイプは内面の検査を実施できていないものであった。
新開発の測定技術の基本原理は、パイプ(内径φ0.5mm~φ1.5mm)の内径よりも細いファイバースコープをパイプに挿入し、その内面の画像の明るさ情報と、事前に取得した表面粗さと明るさの測定データの相関関係をもとに表面粗さを算出するというものである。

【本技術の特徴】

このアイデアは、社内でパイプ内面を観察していたところ、「毎回同じ光源で同じ照度で照らしているが、粗さ値が大きいパイプは画像が明るく、粗さ値が小さいパイプは画像が暗い」という気づきが発端であった。そこで、1年間のプロジェクト活動を通じて代表的なパイプの階調総和(画像の各ピクセルの階調0~255を合計した値)とパイプ内面粗さの関係を相関図から見出し、パイプ内面画像から内面粗さを算出するシステムを開発した。
使い方は、パイプを自動制御ステージにセットするとステージの自動移動によるパイプの送りと小径パイプ内面の画像撮影を順次繰り返し実施する。内面のデータを取得すると共に、同時処理して表面粗さの計算結果をリアルタイムに表示するように操作性も改善している。

① パイプ全域での粗さ測定を実施可能。(従来はパイプ内面の極一部の狭い範囲での測定)
② 簡便で、短時間で内面粗さが測定できる。
③ 従来のような破壊測定分の余分な製品の製造が不要。
④ お客様に実際に納品する製品の全数測定が可能。

【本技術の応用事例・想定用途】

医療機器や科学分析装置に用いられる極小径パイプの品質向上、工程改善に大きな寄与が期待される。
⑴ パイプ洗浄後の洗浄レベル向上:異物残留の検出
⑵ 非破壊でのパイプ内面の傷検出:規格外品の判定
⑶ パイプ加工プロセスの向上:バリ軽減できる加工プロセスへ反映

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