Idea Bank Liaison Company

 株式会社 IBLC

「技術」を「事業」につなげるソリューションカンパニー

【050】 デジタル・トランスフォーメーション(DX)

【050】 デジタル・トランスフォーメーション(DX)

大村 清

1. Society 5.0
 “Society 5.0”は、2016年1月22日に閣議決定された「第5期科学技術基本計画」の「第2章 未来の産業創造と社会変革に向けた新たな価値創出の取組」のなかで、世界に先駆けた「超スマート社会」として提言されている(※1)。これまでの情報社会(Society 4.0)の次の社会で、IoT(Internet of Things)で全ての人とモノがつながり新たな価値を生み出し、AI(Artificial Intelligence)によるロボット技術や車の自動走行技術の高度化などにより、少子高齢化、地方の過疎化、貧富の格差などの諸課題を克服し、希望の持てる社会、世代を超えて互いに尊重し合あえる社会、一人一人が快適で活躍できる社会を実現するとしている(※2)。その動きは既に始まっており、具体例なども紹介されている(※3、※4)

2. 2025年問題
 2025問題とは、1947~49年の「第1次ベビーブーム」で生まれた「団塊の世代」が、75歳以上となる2025年頃の日本で起こる様々な問題(※5)のことで、これは少子化による人口減少と年齢層別人口構成(主に15~64歳人口と65歳以上人口との比率)の変化によるもの(※6)で、かなり以前から十分に予測可能な問題であるにも拘わらず抜本的な対策を打てずに人口ボーナスを使い果たして経済成長力は低下し、年金制度の破綻、皆保険制度の破綻、格差拡大と総貧困化などが進むという悲観的な見方もある(※7)。Society 5.0はこのような危機の救世主の一つになって欲しいと希望する。

3. EBPM(Evidence-based Policy Making)
 日本の一人あたりの労働生産性は、対米比較で1990年代初頭に米国の3/4近い水準になったが、その後日本経済は低迷して下降に転じ2018年には6割程度にまで落ち込んでいる(※8)。この低い生産性の原因は「非効率な産業構造」(他の先進国に比べて小さな企業が多すぎる)にあり、「働き方改革」や「女性活躍」のような労働者の頑張りに期待するような楽観的な施策では20年以上に及ぶ長期間の経済低迷を脱却できないとデービッド・アトキンソン氏は主張している(※9)。氏は、「日本のリーダ、経営者、専門家は、起きている現象の知識は十分だが、その原因を徹底的に追及することはなく、結果として泥縄的な解決策しか出せない」としデータに基づく徹底的な要因分析の必要性を説いている(※9~※11)。氏の主張に批判的な記事(※12)もあるが、政策・施策の立案に当たっては徹底的な要因分析が必須で、EBPM(Evidence-based Policy Making)の取り組みが注目されている(※13)。EBPMが求められる背景に「これまでの我が国の政策決定においては、局所的な事例や体験(エピソード)が重視されてきたきらいがある。 過去の”慣行”で行われてきた政策は、本来の政策目標達成のため実効性に欠けるものが多い」(※14)という指摘があるが、国の政策決定のみではなく会社経営においても同様と思われる。全体が右肩上がりの時代であれば少々的外れの施策でもうまくいっているように見えることも、下り坂では普通の施策では上昇に転じられない。(「エビデンス対エピソード」という面白い記事として※15に紹介する)

4. DX(デジタル・トランスフォーメーション
 DXの定義を経済産業省は「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」としている(※16)。DXの発祥は、2004年にスウェーデン・ウメオ大学のエリック・ストルターマン教授が「ITの浸透が、人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させる」とその概念を提唱したものでSociety 5.0もその一つであるが、経済産業省の上記定義は企業にとってのDXを表わし、DXは単に製品やサービスを変革するだけでなく、企業文化・風土までを変える覚悟で取り組む必要があることを示している(※17)。DXの概念提唱から十年以上経過した今になってDXが脚光を浴びる理由として、①消費者の消費活動が、「モノ」から「コト」へ、「所有」から「共有」へと変化しており、企業としてもビジネスモデルを変える必要があること、②既にいろいろな分野でデジタル化による変革は起きており、例えばウーバーのようにクラウドやビッグデータ、IoT、AIなどのIT技術を駆使した新規参入者(デジタルディスラプター)が既存業界のサービスやビジネスモデルを破壊し再構築を迫られるゲームチェンジが始まっていること、③このようなビジネス環境の急速な変化に既存企業が即応するには既存のレガシーシステムの延長では困難で抜本的な企業変革が必要なこと、などが挙げられている(※18)。  経済産業省は、多くの経営者がDXの必要性を認識して取組んでいるものの実際のビジネス変革には繋がっていないという現状認識のもとで、DXを実現していく上での ITシステムに関する現状の課題やその対応策をレポートしている(※19、※20)。ここで、DXが実現できない場合、2025年以降に最大12兆円/年(現在の約3倍)の経済損失が生じる可能性があるとし、これを「2025年の崖」と名付けて2025年までにシステム刷新を集中的に推進する必要性を説き、DX実現シナリオを提示している。  なお参考までにDXと似たような言葉で「デジタライゼーション」があるが、これは全く別の概念とされている(※21)。さらに「デジタライゼーション」と「デジタイゼーション」も異なる(※22)。これらの差異を知ることにより、DXの理解を深めることができる。 

4.1 DX導入の現状
 独立行政法人情報処理推進機構(IPA)は、日本企業のDX推進支援を目的として、「DX 白書 2021」を発刊した(※23、24)。ここでは、日米企業におけるDXを、戦略・人材・技術についてアンケートによる比較調査を行い、日本企業の現状や課題を考察している。また、DX推進の参考として戦略・人材・技術それぞれについて、有識者のコラムを紹介している。
 白書に記載の戦略・人材・技術についての日米企業比較の内容を別紙1に紹介する。

4.2 メタバース
 2021年10月28日にFacebook社が社名を『meta(メタ)』に変更すると宣言してメタバースが広く知られるようになった、メタバースの概要や仕組みは文献※25に分かりやすく解説している。以下にその内容を紹介(引用)する。
① メタバースは、インターネット上で提供される仮想空間や仮想現実の世界のことで、現実社会同様に世界中から参加者が集い、一人一人アバターとしての人格をもち、社会活動や経済活動を行うことが可能な空間である。
 ・メタバースは、meta(超越した・高次の)と universe(宇宙・世界)を組み合わせた造語
 ・1992 年に SF作家のニール・スティーヴンスン氏の作品で使用されたのが始まり、2000年代後半に『セカンドライフ』という仮想空間サービスが世界的にブームとなったが、2010年代に入る前にブームが終息した
 ・ここ数年 VR・AR 技術の進歩、情報通信環境の高度化、ブロックチェーンなど新しいテクノロジーの普及に伴い、より高度なレベルでのメタバースの可能性が見えてきた
 ・『フォートナイト』や『あつまれどうぶつの森』などでは、実在するアーティストがゲーム空間でライブイベントを行ったり、アバター衣装を人気ブランドが提供したりとゲーム内における仮想現実が成立している
②ブロックチェーン技術とNFTを活用したメタバースのプラットフォームに注目
 ・上記ゲームにおけるアバターやゲーム内通貨等はそのゲーム内でしか価値を保有できない
 ・ブロックチェーン技術とNFTを活用したメタバースでは、プラットフォームから別のプラットフォーム、またメタバースから現実世界へとシームレスにアバターやNFT資産(仮想通貨等)を所有したりや取引したりすることが可能
  (NFT(非代替性トークン)はブロックチェーン技術によって唯一性を付与したデジタルデータを指す。仮想通貨が代替性をもつのに対し、アートや音楽などのデジタル作品に”公的な所有権の証明”を持たせることが可能)
 ・一人一人がメタバース上にアバターを作り、自分の土地や通貨を所有し、ファッションを楽しみ、デジタルアートを所有し、イベントに参加する。所有するデータには全てブロックチェーンにより所有権が証明され、リアル同様に個人が確立されていく。そのような世界がメタバースで実現されていくと考えられている

 文献※26で、「メタバースとは何なのか。今のSNSやゲームとはどう違うのか。」という疑問に対して、グリーの上級執行役員荒木英士氏は次の3つの要素をあげている。
1.アバターによるリアルタイムのコミュニケーションができること
   文字だけではなく、アバターを介して会話でやりとりをすることができる
2.オープンな空間が存在し、その空間を利用者自身が拡張できること
   アバターが移動し、そこで誰かに出会う体験ができる。
3.「クリエーターエコノミー」
   メタバースでの活動によって、お金を稼ぐことができ、経済活動が成立する
 荒木氏は、「いまは、現実社会の補完としてオンラインが存在しているが、ゆくゆくはその関係性が逆転していく。メタバースが発展していくには、その中で人々が活動していくことが必須で、その条件の1つが、経済活動が生まれることだ」と話している。文献※26には仮想空間の事例が複数紹介されている。

<Virtual Transformation(VX)>
 “「VX」がDXの次にやってくる、メタバースやデジタルツインの先進事例は?” という記事(※27)がある。ここで、VXとは、「現実世界と仮想世界を融合する変革」を指し、VXサービスの事例として、XR(AR、VR、MR)を活用した「XRミーティング」を挙げている。フェイスブック(現社名:Meta)が提供する「Facebook Workrooms」がその具体例の1つとのこと。XRミーティングは、従来のWeb会議の機能に加え、XR技術を活用した360度全方向でインタラクティブな経験ができる会議プラットフォームだという。ここで、XRとは現実世界と仮想世界を融合することで、現実にはないものを知覚できる技術の総称で、VR(Virtual Reality、仮想現実) 、AR(Augmented Reality、拡張現実)、MR (Mixed Reality、複合現実) などの技術はXRに含まれる(※28,29)

<メタバースの具体的なサービス提供例>
 2021年7月にアメリカ発のバーチャル空間サービス「Virbela」(バーベラ)を日本国内でリリースした株式会社ガイアリンクの千野将氏にインタビューした記事が文献※30に掲載されており、メタバースを具体的に理解できる。この記事では、「日本でDXが遅れているのはなぜか」「企業でDX進展の障壁になっているのは何か」などをインタビューしていて興味深い。この記事の最後に、「メタバースはもはや映画の中の絵空ごとではなく、確実に現実のものとなりつつある。バーチャル空間のオフィスと、現実のリアルなオフィスは、どのような関係をもつようになるだろうか」と結んでいる。

<AR技術によるメタバース>
 米ナイアンティック(Niantic)は、ポケモンGO、Ingress、ピクミンブルームなどのゲームのAR開発プラットフォーム「Lightship」の一部を「Lightship ARDK」としてAR開発者向けに公開した。ナイアンティックの最高プロダクト責任者河合敬一氏らは、VR技術による仮想世界をベースとした近年話題の「メタバース」よりも、AR技術による現実世界をベースとした「メタバース」(リアルワールド・メタバース)の方が、いま居る場所を豊かにするという点で望ましいと主張する。河合氏の理想は「晴れた日の散歩や日常の通勤を、バーチャルの力などを使って少し明るくする。また、人々が今まで知らなかった場所に気付けたり、前から気になっていたお店に行くきっかけを作ったり……そのような世界の実現に貢献したい」としている(※31)。VXを実現するメタバースのアプローチには、VR技術ベースとAR技術ベースの二つの方向があることを示している(※32)

<メタバースを実現する技術>
 ブルックリンと香港を拠点とするルッキング・グラス・ファクトリー(Looking Glass Factory)は、2014年から、ライトフィールドディスプレイとボリュメトリックディスプレイの技術を組み合わせ、3次元のイメージを空中に描き出す、「ホログラフィックディスプレイ」の開発を行っている。ルッキング・グラス・ファクトリーのCEO、ショーン・フレイン氏は、「我々の技術は、ヘッドセットを使わずにバーチャルなオブジェクトを現実の世界に持ち込み、実際の3Dで見たり操作したりすることが可能な唯一の方法だ」と話す。「我々は以前から、2Dのコンピューティング、2Dのコミュニケーション、2Dのクリエーションを引き継ぐのは3Dだという未来を思い描いてきた」「そしてそれは、クロスプラットフォームなものになるだろう。モバイルデバイス、VR、ARだけでなく、そこにホログラフィックインターフェースもある」とフレイン氏はいう(※33)。VRの特徴の一つは「人間に対して臨場感や現実感,存在感を提示すること」でありこれは感覚・体験の技術であり人間の脳や心を対象とした側面を有しており(※34)、錯視・錯覚、知覚、脳科学、心理学などの研究成果がVX推進にも貢献すると考えられる(※35)

<メタバースの今後の見通し、課題>
・文献※36でITジャーナリスト西田宗千佳氏は、インターネットの進展とメタバースを対比させて「メタバースそのものは1960年代から続く概念ですが、それがようやく形になってきたように見えるレベルで、理想のメタバースになるのは2030年以降ではないかと思う」「今の段階にメタバースで何ができるかというと、ゲームだったり人と話せたり会議ができたり、そういう1つ1つができているに過ぎない。その1つ1つは重要だけれどつながってはいない。それらがつながって情報や商圏が移っていく、決済して物を渡す、ということができるようになると’メタ’、上位概念としての世界になるのでしょう」と述べている。
・文献※37では、メタバース上のプラットフォームやサービスの相互運用性を可能にする共通の技術標準が不可欠で、Open Metaverse Interoperability Groupのような国際的な組織がこれらの標準を定義しているとしている。
・文献※38では、「仮想空間内での商取引などを巡る法律やルールの整備が課題になっている。現行法は所有権の対象を物理的な「モノ」に限るなど、仮想空間に対応しきれていない面がある。新法を望む声もあるが、仮想空間の運営企業の責任を重くしすぎるとビジネスの足かせにもなる。制度作りのバランスが求められている」としている。
・経済産業省は、「ゲーム産業をはじめ、仮想空間の日常生活との融合は、社会や産業の在り方を、根底から大きく変えるパラダイムシフトと言えます。一方で、仮想空間におけるルールメイクの在り方や現実空間への影響など、検討が待たれる課題も存在します。」との認識で、仮想空間に関連する事業に参入する事業者が直面しうる諸課題及び今後の仮想空間市場の展望を整理し、報告書として取りまとめている(※39、※40)

 以上メタバースについて多くを記述したが、インターネットと同様に今後の生活やビジネススタイルを大きく変え、このパンデミックによりその進展・普及が加速するものと思われる。DXでは遅れ気味の日本だが、VXでは十分に挽回できるのではないだろうか。

2021年9月19日
著 者:大村 清(おおむら きよし)
出身企業:NTT
略歴:研究所内業務システムの企画・開発・運用
専門分野:IT,業務システム

【※ 参考文献】
1  Society 5.0 内閣府
2  第5期科学技術基本計画(平成28年度〜32年度) 内閣府 2016.1.22
3  「Society 5.0」はもう始まった?5分でわかるSociety 5.0の詳細と実現の具体例 OPTiM 2018.05.10
4  技術の更なる進歩等がもたらす社会の変化 国土交通省 令和元年度国土交通白書
5  2025年問題 知恵蔵の解説 南文枝 ライター 2017年
6  人口構造の変化 国土交通省 平成24年度国土交通白書
7  あと6年も経たないうちに必ず訪れる「2025年問題」報道されないリアルな将来とは 原 彰宏 2017.9.16
8  労働生産性の国際比較 日本生産性本部 2019.12.18
9  日本が「生産性が低すぎる国」になった五輪イヤー 衰退への一手を打った法律とは? デービッド・アトキンソン(小西美術工藝社社長)2019.10.11 ※東洋経済オンラインより転載
10 [議論]D・アトキンソン「生産性向上へ最低賃金を上げよう」 大竹 剛  日経ビジネス副編集長 2019.8.22
11 「日本企業は今の半分に減るべきだ」デービッド・アトキンソン大胆提言 デービッド・アトキンソン(小西美術工藝社社長) 東洋経済オンラインより転載 2018.3.3
12  デービッド・アトキンソンへの妄信は危険 南充浩  2017.1.30
13  内閣府におけるEBPMへの取組 内閣府 2019.4更新
14  EBPM(エビデンスに基づく政策立案) に関する有識者との意見交換会報告 総務省 2018.10
15  エビデンス対エピソード 今日の視点(伊皿子坂社会経済研究所) 2017.5.2
16  デジタルトランスフォーメーションを推進するためのガイドライン 経済産業省 2019.12
17  今更聞けないデジタルトランスフォーメーションの定義とは? FUJITSU JOURNAL 日経BP総研 木村知史上席研究員2019.9.26
18  企業が今、デジタルトランスフォーメーションに取り組むべき3つの理由 FUJITSU JOURNAL 日経BP総研 木村知史上席研究員2019.9.26
19  DXレポート~ITシステム「2025年の崖」克服とDXの本格的な展開~ 経済産業省 2018.9.7
20  「2025年の崖」とは何か?レポートを要約すると? 経産省の推奨施策まとめ ビジネス+IT 国際大学GLOCOM 客員研究員 林雅之 2019.10.2
21  コレ1枚で分かる「『デジタルトランスフォーメーション』の真意と『デジタライゼーション』との違い」 ITmedia 斎藤昌義(ネットコマース株式会社) 2019.1.18
22  成功と失敗の分かれ目は デジタイゼーションとデジタライゼーション kenmochi.tomohisa オートメーション新聞編集長 2017.7.2
23  DX白書2021 IPA(独)情報処理推進機構 2021.10
24  日米企業における DX 動向を解説した「DX 白書 2021」を発刊 IPA プレスリリース 2021.10.11
25  メタバースとは 概要や仕組みを 5 分で入門 クラウドエース株式会社 2021.12.22
26  本気のメタバース 広がる先にはビジネスも NHKビジネス特集 2021.11.22
27  「VX」がDXの次にやってくる、メタバースやデジタルツインの先進事例は? ビジネス+IT 2021/11/12
28  注目の「XR」(クロスリアリティ)とは?VR、AR、MRとの違いと最新事例を紹介 TIME&SPACE KDDI 2021.9.22
29  VRやARとどこが違う? MR(複合現実)の仕組みと代表例『Microsoft HoloLens』を解説 TIME&SPACE KDDI 2017.3.16
30  DX最先端”メタバース”で現実化するバーチャル職場~ガイアリンク 千野将氏インタビュー みんなの仕事場(ASKU)L 専門家に聞く  2021.12.01
31 「仮想世界ではなくリアルワールド・メタバースに」、ナイアンティックがAR開発プラットフォームを目指す理由 ケータイWatch 松本 和大  2021.1110
32 「ポケモン GO」もメタバースに、VRメタバースとARメタバースのすみ分け進化 ビジネス+IT 2021.10.06
33  メタバースブームにあやかる、古参のAR・ホログラム企業 DIGIDAY 2021.12.20
34  VR 空間におけるクロスモダリティ活用への取り組み バイオメカニズム学会誌,Vol. 43,No.1(2019)早稲田大学表現工学科 河合 隆史
35  錯視・錯覚研究からみるVirtual Realityとその技術 先端VRドクトラルシンポジウム(2021.07.16)東京⼤学⼤学院情報理⼯学系研究科久保田祐貴
36  メタバースと半導体。ハードが無いとサービスで勝てない? 2021年を振り返る(2) ImpressWatch 2021.12.27
37  Facebookは仮想世界「メタバース」の覇者になるか デジタル経済メディアAxion 吉田拓史 2021.8.20
38  メタバース、迫られる法整備 日本経済新聞 2021.12.6
39 「仮想空間の今後の可能性と諸課題に関する調査分析事業」の報告書を取りまとめました 経済産業省ニュースリリース 2021.7.13
40  調査分析事業 仮想空間の今後の可能性と諸課題に関する調査分析事業 経済産業省 KPGMコンサルティング株式会社 2021.3.26
41  DXにデザイン思考が必要な理由|DX実現に重要なポイントや注意点、活用事例をご紹介 KDDI まとめてオフィス 2021.11.09
42 【初心者向け】アジャイル開発とDXについて srts&crafts 2021.08.19
43  DevOpsとは何か? そのツールと組織文化、アジャイルとの違い BuildInsider 2016.5.9
44  なぜマイクロサービスがDXにとって重要なのか? 2025年の壁と技術的負債を乗り越えるために CodeZine 2021.07.21
45  クラウドの活用でDXを実現! 日本情報通信ネットワーク株式会社 2020.02
46  そもそもコンテナ技術とは?  NEC
 


別紙1.「DX 白書 2021」にみる戦略・人材・技術についての日米企業比較   記事に戻る↑
白書では、日本企業534社に対して2021.7.5~8.6の期間に、米国企業369社に2021.7.8~7.19の期間にアンケート調査した結果を報告している。その内容は以下の通り。
【戦略】
<外部環境の変化への対応>
外部環境の変化(パンデミック、デジタルディスラプターの出現、技術の発展、SDGs)について、「非常に強い影響があり、ビジネスを変革させ最優先で影響に対応している」と回答した日本企業の割合は、パンデミックからSDGsまでの各項目それぞれ15.2%、4.2%、10.4%、9.0%で、米国企業の割合に比べて半分以下で、特にデジタルディスラプターの出現に対しては3割以下に留まる。「強い影響があり、ビジネスを変革させ影響に対応している」という回答を加えると日本企業はそれぞれ40.8%、17.1%、37.4%、33.1%となり、米国企業の割合に比べてデジタルディスラプターの出現は5割に留まり、パンデミックと技術の発展で8割、SDGsで9割となっている。この結果は、日本企業の経営陣の外部環境変化に対する危機感が米国企業に比べて低いこと、国内ではデジタルディスラプターとして既存の業界に挑戦する企業がまだ少ないことを示していると思われる。
<DX推進プロセス>
・アナログ・物理データのデジタル化で「既に十分成果が出ている」と回答した日本企業は17.0%で米国企業の56.7%とは大きく乖離している。「既にある程度の成果が出ている」という回答までを加えても米国企業の84.8%に対して日本企業は60.1%に留まり、デジタル化を成果に生かし切れていない現状がわかる。
・顧客価値を高めるために企画、実行、学習のサイクルを継続的かつスピード感をもって反復するアジャイルの原則とアプローチを組織のガバナンスに取り入れているかという質問に、「全面的に取り入れている」と回答した日本企業の割合は、IT部門で8.2%・経営企画部門で5.1%・事業部門で5.3%。米国企業は、IT部門で53.4%・経営企画部門で39.6%・事業部門で37.4%。回答の選択肢には「一部取り入れている」「取り入れていないが、検討中」「取り入れていない」があるが、「取り入れていない」と回答した日本企業は各部門共に50%を超えるが米国企業では10%程度に留まり、日本企業の硬直性を顕著に表している。
<組織的なDX推進>
・経営層・IT部門・業務部門の協調について「十分できている」と回答した日本企業は5.8%、米国企業は40.4%。「まあまあできている」という回答までを加えても、日本企業は42.9%、米国企業は85.8%であり、DXに向けた組織的な取り組みの後進性を顕著に表している。
<評価とガバナンス>
・DX推進プロセスに際して、顧客体験価値(CX)・従業員体験価値(EX)の向上推進やデジタル変革によるビジネスモデルの有効性把握に向けたKPIの適切な設定と評価結果に基づく見直しをどのくらいの頻度で行っているかという質問に対して、米国では四半期に1回以上実施している企業が5割を超え、評価対象外としている企業は1割前後にとどまる。一方、日本では四半期に1回以上実施している企業は2割未満、評価対象外としている企業は(予算配分見直し、事業ポートフォリオの作成、戦略の見直しを除くと)5割を超えており、日本企業のEBPMに拠らない経営の傾向を裏付けている。
【人材】
<企業変革を推進するリーダーに求められるマインドおよびスキル>
資質項目(変化志向、業績志向、顧客志向、市場志向、戦略的思考、テクノロジーリテラシー、コミュニケーション能力、リーダーシップ、意思決定能力、ハイパーアウェアネス(察知力)、自律性、実行力、危機意識、モチベーション)について重要度を調査している(複数選択)。
米国では業績志向、顧客志向、市場志向、テクノロジーリテラシーを重視する企業が日本企業に比べて多く、日本では戦略的思考、コミュニケーション能力、リーダーシップ、意思決定能力、実行力、危機意識を重視する企業が多い。白書では、米国企業が顧客や業績などの成果評価と関連する項目を重視するのに対して、日本企業ではリーダーシップや実行力といった個人の能力を重視していることがうかがえるとしている。
<企業変革を推進する人材の状況>
事業戦略上、変革を担う人材の“量”と“質”それぞれについて調査し、「過不足はない」と回答した日本企業はそれぞれ17.3%と14.8%、米企業では44.2%と47.2%。「やや不足している」と回答した企業は、日本で45.2%と47.4%、米国では22.8%と25.7%となっている。
日本企業では量と質の両面で人材不足が顕著で、白書ではDX推進のために必要となる人材要件を明らかにし、人材のスキル評価や処遇といったマネジメント制度の整備をする必要がある。その上で、採用や外部人材の活用、社員の人材育成(リスキル)といった人材確保のための施策の実施が求められるとしている。
<社員の学び直し(リスキル)>
AI、IoT、データサイエンスなどの先端技術領域に関する社員の学び直しの方針を尋ねた結果、
「全社員対象での実施」と回答した米国企業は37.4%に対しの日本企業は7.9%。「会社選抜による特定社員向けの実施」と回答した企業は米国企業16.1%に対しの日本企業34.7%。「実施していないし検討もしていない」と回答した米国企業9.8%に対して日本企業46.9%と圧倒的な姿勢の差が表れている。
<ITリテラシー向上に向けた企業の取組>
・企業に対してITリテラシー向上で重要な取組を尋ねた結果、「変革を担う人材すべてがテクノロジーへの深い理解を身につけること」と回答した日本企業36.9%、米国企業49.1%、「IT部門に加え、ITシステムを活用する事業部門がテクノロジーを理解したうえで業務を行うこと」で日本企業38.4%、米国企業36.9%、「IT部門がテクノロジーへの理解を専門的に向上させること」で日本企業21.4%、米国企業13.0%。日本ではITリテラシー向上の対象が「変革を担う人材すべてが」というより「IT部門が」とする率やや多いのが問題といえる。
・企業が社員のITリテラシーレベルを認識・把握することは、社員の学び直し方針の策定に必須となる。その認識・把握についての調査した結果、「認識・把握している」と回答した日本企業は7.8%、米国企業は48.0%。「だいたい把握している」は日本企業31.9%、米国企業32.8%。「認識しておらず、当面、把握する予定もない」は日本企業32.5%、米国企業7.3%という何かの間違いではないかというほどの結果になっている。白書では、日本企業が社員のレベルを十分に認識・把握できていないことがわかるとしている。
・社員のITリテラシーの向上に関する施策状況を尋ねた結果では、「社内研修・教育プランを実施している」は日本企業22.0%、米国企業54.5%。「社外研修の受講を実施、推奨している」は日本企業22.1%、米国企業32.8%。「実施していない」日本企業53.7%、米国企業12.7%となっており、これも大きく乖離している。
・白書では、日本企業は、ITリテラシー向上の重要性を認識しつつも、自社の現状を十分把握できていない。社員の学び直しを推進するためには、自社の現状を把握し、あるべき姿とのギャップを埋める適切な研修プログラムや施策を実施することが望まれるとしている。
【DXを支える手法と技術】
<経営やビジネスニーズと整合したITシステムの実現>
ビジネスニーズに対応するためにITシステムに求められる機能(達成度)について調査結果は以下の通り。
・「変化に応じ迅速かつ安全にITシステムを更新できるか」という設問に、「達成できている」との回答は日本企業3.6%、米国企業35.8%、「まあまあ達成している」を加えても、日本企業23.7%、米国企業66.5%。
・「構造が柔軟で外部の有用なサービスと連携して活用できるか」という設問に、「達成できている」は日本企業1.9%、米国企業26.0%、「まあまあ達成している」を加えても、日本企業17.3%、米国企業58.5%。
・「必要で適切な情報を必要なタイミングで取り出せるか」という設問に、「達成できている」は日本企業3.2%、米国企業28.2%、「まあまあ達成している」を加えても、日本企業27.0%、米国企業62.6%。
・「部門間で標準化したデータ分析基盤になっているか」という設問に、「達成できている」は日本企業3.4%、米国企業31.7%、「まあまあ達成している」を加えても、日本企業18.9%、米国企業63.9%。
いずれの設問においても、日本企業の達成度は米国企業に大きく遅れている。
<新しい価値提供を実現するための手法>
日米における開発手法の活用状況を調査した結果は以下の通り。
・「デザイン思考の活用」について、「全社的に活用している」は日本企業4.5%、米国企業26.6%、「事業部で活用している」はそれぞれ10.2%と26.6%、「活用検討していない」は38.5%と10.8%、「手法・技術を知らない」は33.3%と10.6%。
・「アジャイル開発の活用」について、「全社的に活用している」は日本企業4.3%、米国企業25.2%、「事業部で活用している」は、それぞれ15.0%と29.8%、「活用検討していない」は31.5%と14.6%、「手法・技術を知らない」は31.5%と10.3%。
・「DevOpsの活用」について、「全社的に活用している」は日本企業3.0%、米国企業25.2%、「事業部で活用している」は、それぞれ7.9%と27.4%、「活用検討していない」は35.2%と14.6%、「手法・技術を知らない」は43.8%と12.5%。
 白書では、米国企業で各手法の活用状況の傾向が似ており、各手法がセットで活用されている可能性がうかがえる。顧客に新しい価値提供をするためには、適切な開発手法を選択し活用することは極めて重要であるとしている。
 開発手法の解説は、参考文献※41から※43を参照。
<DXを支えるIT基盤>
日米企業における開発技術の活用状況調査の結果は以下の通り。
・「マイクロサービス/API」の活用について、「全社的に活用している」は日本企業5.1%、米国企業29.0%、「事業部で活用している」は、それぞれ15.0%と22.0%、活用検討していない」は31.5%と10.8%、「手法・技術を知らない」は33.6%と14.9%。
・「プライベートクラウド」の活用について、「全社的に活用している」は日本企業13.9%、米国企業30.9%、「事業部で活用している」は、それぞれ11.8%と30.9%、活用検討していない」は29.0%と11.3%、「手法・技術を知らない」は29.4%と9.5%。
・「パブリッククラウド」の活用について、「全社的に活用している」は日本企業16.9%、米国企業29.3%、「事業部で活用している」は、それぞれ14.4%と24.1%、活用検討していない」は25.1%と12.7%、「手法・技術を知らない」は27.9%と9.2%。
・「ハイブリッドクラウド」の活用について、「全社的に活用している」は日本企業8.3%、米国企業25.2%、「事業部で活用している」は、それぞれ8.4%と32.0%、活用検討していない」は34.9%と14.9%、「手法・技術を知らない」は30.6%と9.7%。
・「コンテナ/コンテナ運用自動化」について、「全社的に活用している」は日本企業2.6%、米国企業26.3%、「事業部で活用している」は、それぞれ9.0%と30.9%、活用検討していない」は37.6%と12.5%、「手法・技術を知らない」は37.8%と11.9%。
白書では、日本企業のクラウド活用は、他の技術と比較して割合が高いが、ハイブリッドクラウドの活用の割合は比較的低い。複数クラウドの効率的な運用がまだできていない可能性がある。「マイクロサービス」や「コンテナ」に関しては、日本企業の導入は一部にとどまっている。ビジネス側からの迅速なシステム更新へのニーズの高まりに対応するためには、今後これらの技術活用を視野に入れるべきであるとしている。
 開発手法の解説は、参考文献※44から※46を参照。
<データ利活用>
データ整備・管理・流通の課題について尋ねた結果は以下の通り。
・「全社的なデータ利活用の方針や文化がない」 日本企業37.1%、米国企業24.1%
・「経営層のデータ利活用への理解がない」それぞれ16.1%、29.3%
・「経営層のデータ利活用への積極的な関与がない」20.8%、19.8%
・「IT部門が最新のデータ関連技術に対応できない」23.3%、29.0%
・「データを収集する仕組みがない」22.7%、11.1%
・「データ管理システムが整備されていない」31.5%、14.1%
・「予算の確保が難しい」23.8%、16.3%
・「人材の確保が難しい」41.5%、14.1%
・「既存システムがデータの利活用に対応できない」20.8%、4.6%
・「とくに課題はない」16.7%、24.4%
日本企業では、既存システムがデータの利活用に対応できない、データ管理システムが整備されていない、人材の確保が難しいという課題が米国企業に比べて著しく多い。
<AIの活用>
 AIの活用状況調査結果は以下の通り。
・「導入している」 日本企業20.5%、米国企業44.2%
・「現在実証実験(PoC)を行っている」7.9%、16.3%
・「過去に検討・導入または実証実験を行ったが現在は取り組んでいない」2.3%、10.0%
・「利用に向けて検討を進めている」9.9%、6.5%
・「これから検討する予定」9.9%、4.9%
・「関心はあるがまだとくに予定はない」28.3%、4.6%
 白書では、日本企業では「導入している」割合が、米国企業に比べて差は大きい。ただし、「AI白書2020」の調査(4.2%)と比較すれば5倍に増加しており、AI人材不足が導入課題の1位になっている。日本企業はDXを推進する人材と同様に、自社にとって必要となるAI人材の要件を明らかにし、そのスキル評価や処遇といったマネジメント制度の整備をする必要があるとしている。


*コラムの内容は専門家個人の意見であり、IBLCとしての見解ではありません

Return Top