有望技術紹介

47 テフロン加工に替わるPTFE無電解ニッケルめっき

秋田化学工業株式会社
従来のテフロン加工に比べて潤滑性、撥水性、耐摩耗性、非接着性に優れたPTFE無電解ニッケルめっきの表面処理技術を確立した。半導体前工程の排気ラインの内側にこのコートを適用することで、汚染の軽減が実現され、安定した生産ラインの構築に貢献している。

【本技術の概要】
PTFE無電解ニッケルめっき(商品名:二フロコート)は、「複合めっき」といわれる技術を応用しニッケルを主体にフッ素樹脂を含有させた多層共重合体構造を持った表面処理技術である。この技術は、従来のフッ素樹脂コーティングや電着塗装技術で課題であったピンホールやエッジ部の欠陥発生を大幅に低減させることができる。
コート膜厚20μm、膜厚の均一性は約±0.2%で、撥水性、耐磨耗性、導電性、耐磨耗性、耐腐食性、耐熱性(300℃)、表面膜の硬度 (マルテンス硬度MH:3988.57N/mn2)の特性を持ち、少部品、シール材、金型などにコート可能で、高品質と信頼性を提供する。

【本技術の特徴】
本技術は、母材を前処理した後に、Niを主体とする最大28%程度のフッ素樹脂を含んだ特殊無電解法による化学反応成膜と、アニール処理を行う。フッ素樹脂はNi粒子に分子結合に近いナノ粒子結合状態の特殊コート層が成膜層として構成されている。そのため、従来のフッ素樹脂コーティングに比べ膜の均一性に優れ、製造時の欠陥(ピンホールなど)や継手・エッジ部の欠陥、静電気による材質破壊などの課題が改善された。

① 従来のフッ素樹脂コーティングと同等以上の耐腐食性をもつ。
② 高精度の成膜制御が可能で、撥水性に優れ、副生成物の付着・堆積が少ない。
③ ほとんどの加工材料(SUS/Fe/Al/Cu/バイトン系樹脂など)にコーティングが可能。
④ フッ素コーティングで問題となる継手、エッジ部での欠陥、ピンホールなどの発生が少ない。
⑤ コート膜のNiフッ素の均一分布することにより帯電防止効果を発揮する。
⑥ 静電気による異常放電がないため可燃性ガス、液体用配管に使用ができる。
⑦ コートにNiを主体としているので従来のフッ素樹脂コーティングより硬度が高い。
⑧ 従来のフッ素樹脂コーティングより熱伝導率が向上し、耐熱温度300 ℃を実現した。

【本技術の応用事例・想定用途】

本技術の応用事例は、半導体前工程の排気ラインでこのコートを適用することで、汚染の軽減と、それに伴う消耗品の削減に寄与し、コスト低減、人件費の低減、ランニングコスト低減、装置稼働率とスループットの向上などが実現され、安定した生産ラインの構築に貢献している。

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