NEDO 若手研究グラント平成23年度採択テーマから産学連携のための研究紹介

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生体に学んだ高機能ベアリング/シール"Bio-Star"シリーズを搭載した
マイクロ&クラスター型河川流・潮流発電システムの開発

〜クリーンなグリーンエネルギー〜
 近年、再生可能エネルギーの利用促進が叫ばれています。しかし、発電効率の改善が求められたり、利用促進による環境への悪影響が懸念される事例も散見されるようになりました。
 本研究開発事業では、河川流・潮流エネルギーを周辺環境への影響を僅少にしつつ、かつ、高効率に回収することをめざしています。この目的達成のため、生体のしくみに学び、工業部品に応用する"バイオミメティクス"技術を活用して、低摩擦・低環境負荷・耐水性を飛躍的に高めたベアリング/シール システム"Bio-Star"シリーズの開発と発電システムへの搭載を進めています。

研究機関・所属 熊本大学 大学院自然科学研究科 産業創造工学専攻
氏名・職名 中西 義孝 教授
研究テーマ名 潮流発電に適したバイオミメティック・シールの開発
応用想定分野 河川流や潮流発電等の水中での回転装置、食料品製造装置、半導体製造装置
技術紹介

 Bio-StarとはBiomimetic System for Tidal power generation learned from Articular cartilageの頭文字をとったもので、生体関節軟骨の優れた潤滑機能を模倣した完全なオイルフリーのベアリング/シールシステムを意味しています。
 このシステムの搭載により、

1)
あらゆる速度域においても優れた低摩擦を維持するため、発電効率が向上する
2)
自然に優しい潤滑液の利用により、環境負荷が低減(油も使わないので、河川が汚れることもない)

などのメリットが得られます。
 平成24年10月31日より、このBio-Starシリーズを搭載した河川流発電ユニットの実証試験を白川(熊本市)にて行っています。

 発電方法についても"マイクロ&クラスター型"を提案し、将来の再生可能エネルギーのあるべき姿の一例を提案しています。一つの発電ユニットは写真に示すように非常に小型・軽量のものですが、これを複数同時設置して発電する形態です。
 この形態の特徴は、

1)
ダム・周辺道路の整備などの付帯インフラ整備が不要で、流れがあるところであればどこにでも設置が可能
2)
豪雨などが予想される場合は撤去が簡単
3)
一つの発電ユニットに不具合が発生しても全体の発電への影響が小さい

などがあげられます。

技術の特徴
(1)
水ベースの潤滑材を使用し潤滑油を使用しないので、環境を汚染しない。
(2)
優れた低摩擦・耐摩耗特性。
(3)
潤滑材の非ニュートン流体特性により、静止状態から高速状態まで低損失・低摩擦。
(4)
使用する材料はいずれも、高吸水性スポンジ(PVF)や化粧品添加剤(PEG)として商用ベースで使用されているものであり、環境に対し安全でありかつ安価である。
従来技術との比較

1)ベアリング

2)シール

特許出願状況

1)特開2004-321754「人工関節」 PVFを使った人工関節用ベアリング
2)PCT国際出願PCT/JP2010/068616人工関節の軸受面のテクスチャリング

研究者からのメッセージ

 この研究開発事業を成功させるためには、プロペラ・水車、機械要素、発電関連機器、浮体ユニット、材料表面改質、新材料創出、発電ユニット設置のためのマネジメントなどを得意とするたくさんの企業様方のご支援が必要です。是非、研究開発趣旨に賛同いただき、ご協力いただけば幸いです。

 Bio-Starシリーズは「自然に学び工学に生かす 〜Biomimetic Technology〜」から生まれた技術です。生体関節は重い荷物を持ち立ったままでいても、急に走り出しても、飛び跳ねても、優れた低摩擦・低摩耗を維持し続ける優れたベアリングシステムです。産業用に開発したバイオミメティク・ベアリングの基礎技術は学術的にも高い評価Aを頂いたほか、社団法人日本機械学会創立110周年事業の技術ロードマップBやFuture Climate-Engineering SolutionCにも優れた省エネルギー・低環境負荷のシステムとして取り入れていただきました。皆様から関心を寄せていただき、更なる発展を望んでおります。

  1. A 2011/4/21、日本機械学会論文賞(発表論文1)
  2. B 2007/10/26、明治記念会館:http://www.jsme.or.jp/InnovationCenter/images/baio2.pdf
  3. C 2009/9/3、Copenhagen、
     http://www.jsme.or.jp/InnovationCenter/images/roadmap_FutureClimate.pdf

参考:

熊本大学工学部 機械システム工学科 バイオエンジニアリング研究室
http://www.mech.kumamoto-u.ac.jp/Info/lab/biomech/Welcome.html

発表論文:

1.
Development of Biomimetic Bearing with Hydrated Materials, Yoshitaka Nakanishi et. al., Journal of Biomechanical Science and Engineering, Vol. 4, No. 2, 249-264 (2009)